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2005.09.13

長浜の建碑事業に感動する

9/10(土)つづき

 受付で「太田さんはもうお戻りですか」と尋ねようとすると、その必要はありませんでした。
 事務所にご当人がおられるのが見えました。

 事務所に通されました。
 歓談開始。

 さて問題の瑞泉寺裂。
 「箱がありませんでしたか?」
 「そういえばあったけど」

 「それは重要です。実は云々」と三宅清治郎のことを簡単に説明する。
 (あれ太田氏に三宅論文お渡ししてなかったっけ?)

 「でもそんなに古い箱じゃないよ」
 「ええ、大正のものです」
 「ああそれなら分かる」

 さっそく収蔵庫に行ってもらいまして、ご確認をいただきました。
 規則により部外者の僕は見ることができません。

 お返事。
 「いわれた通りやったわ」

 おお。
 「三宅清治郎寄贈箱」と墨書で明記されてあったそうです。
 これは感激。
 
 田中吉政に会いにきただけなのに、長浜で三宅の遺品に接触してしまった。
 思わず太田氏と握手。
 そんなにうれしいかという顔をする太田氏。

 三宅の石碑の話しを改めてする。
 400基に話しが及ぶと太田氏反応する。

 「それはすごいな。」
 それまでほとんど関心を示さず聞くだけだったのに、なぜそこで反応する?

 「実は最近長浜にも石碑を建てたんや。140基。」

 たしかに長浜には多数の碑が建っています。
 「長浜城外堀跡」とか。

 それのことですね、とうかがうと、
 「ちがう、最近」

 「えっ、あれ以外にですか」
 「そう」
 「いったい何に建てたんですか」
 
 「長浜は御朱印地やろ。」
 「はい」
 「その境界全域に」
 ??
 理解できない。
 建碑一覧を見せてもらいました。
 仰天。

 ほんと、なめるように全域に・・・。

kenhichi

 天正19年(1591)、長浜は、豊臣秀吉によって、城下町部分が年貢米免除となりました。
 税免除です。
 その範囲のことを「御朱印地」といいます。

 豊臣期のものはありませんが、江戸前期の絵図が残っていて、線引きによってその範囲がわかります。

 しかし現実には土地に線は引けませんので、石標を建てて明示したわけです。

 江戸後期の絵図を見ると、28箇所にそれらしいポイントが記されています。
 いま現地にそれは3ヵ所だけ残っています。
 例えば「従是西長浜領」と刻まれています。

 抜き取られて位置が変わってしまったが、それでも現存するのは11本です。
(市立長浜城歴史博物館『長浜町絵図の世界』)

 この失われた石標をこのたび再建したというのです。
 これはすごい。
 ひたすら、すごいすごいを連発する。

 ここでひとつ注文をつける。
 「将来、この事業はきっと忘れられます。経緯を記して活字にしてくださるとさらにすごいです」
と申しますと、

 もうした。
 近々出る、とゲラを渡される。

 おお、本当だ。
 建碑事業の丁寧な報告書です。

 すごい、すごい、もっと感激。

 これは現代の建碑事業のモデルケースになるにちがいない。
 太田氏、すごい。

 これは見に行かねばならぬ。
 
 今回の図録『田中吉政』などいっぱいおみやげをもらい、実に気分よく辞去する。

 太田氏と会いますと、このようにいつも元気をいただきます。
 これが前回「心友」と述べたゆえんです。

hi

 さぁ現地に。
 たしかに各所に建っている。

 だんだん冷静になってきました。
 冷静になりますと、すごいすごい、から、しまった先をこされた、という気分になってきた。

 というのも僕は、近刊の拙著『御土居堀ものがたり』で、京都にこれを実現させよう、と提言していたのです(183ページなど)。

 ぞくに江戸時代、洛中洛外の境界線が御土居堀だ、といわれます。
 が、厳密にはちがいます。
 御土居堀の内側でも「洛外」はあります(拙著、94ページ)。

 では何が境界かといいますと、石標です。
 「是より洛中荷馬口付のもの乗り入るべからず」と刻まれたものが境界に建てられていたのです。

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 これは長浜とちがって実に保存が悪く、本来の位置に建っているものは皆無です。
 小学校や個人宅に13本残っているだけです。
(伊東宗裕『京の石碑ものがたり』に12本の所在地明記。)

 これを旧地に復興しようと提言しました。
 いつかみんなで実現しようと思っていました。

 それを長浜に先にやられた、と思ったわけです。

 しかしそれにしてもやはりすごい。
 京都、みならわなければ。

 ひたすら感心したあとはお腹がすきました。 
 
 長浜に行くと絶対寄るみせがあります。
 「鳥喜多」という丼店です。
 
 うまいんです。
 
 ところが。

 臨時休業。

 がっかり。

 しかし思い出す。

 支店があったはずだ。
 支店まで休みとは限らない。

 棒になった足をひきづりながら、支店へ。

 おおっ、営業している。
 ばんざいです。

 親子丼としっぽくを注文。
 あわせて千円。
 安い方です。

don

 満足して長浜駅へ。
 新快速で京都に向かいます。

 有意義きわまりない日でした。
(おわり)

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